暗い夜、星を数えて ~3・11被災鉄道からの脱出~【著】彩瀬まる 【レーベル】新潮文庫 【初版発行日】2019/3/1
東北旅行中に東日本大震災に巻き込まれた著者によるルポ。
第一章ではいわき市に移動する為に乗った常磐線の電車で
大きな揺れに襲われそこからの5日間が描かれている被災体験記。
第二章では被災から3ヶ月後に友人と会い
友人が過ごしてきた現地の様子やボランティア活動の様子が綴られている。
第三章ではそれから更に時間が経過し、
11月に福島を訪れた時の現地の人々の様子が綴られている。
読みやすいので情報がするすると頭に入ってくる。
その時の状況も想像しやすい文章。
自分がどうなるかわからない極限状態もひしひしと伝わってくるので
やっぱり第一章が凄くドキドキしました。
観光と友人に会うという目的で福島に行こうとして
震災に巻き込まれるってショッキング過ぎる…。
しかし、被災中に出会った人々の優しさが身に沁みます。
54頁の
『様々な場所を転々とする間、私はそばにいる人と
お互いの存在を確認し合うことで苦痛の時間を越えてきた。
そうでなければ耐えられないほど暗い川だった。
深く、冷たく、恐怖に満ちていた。
けれど、黒い水面に怯える時、いつも無数の善意が心を守ってくれた』この一文が印象的だったんだけど巻末の石井氏の解説でもこの部分が挙げられていた。
著者の彩瀬さんは新人作家で、単行本としてはこれがデビュー作だったらしい。
私はこの本をたまたまお店で見かけてフィーリングで購入したんだけど
丁度この時期にこの本を読めて良かったと思います。
復興の定義…。
第二章のボランティアの様子を見て、
前にテレビで見た寒々しい東北の様子も
現地の人達やボランティアの人達等大勢の人の努力で手に入れたものだったんだ。
津波の後にここまで綺麗にするのがどれだけ大変だったのか
一部分でも知る事が出来て良かった。
また読み返したい一冊です。
(2022/3/4読了)
最新コメント