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銀河鉄道の夜

【著】宮沢賢治 【レーベル】岩波少年文庫 【初版発行日】2000/12/18

宮沢賢治のこの本を買ったきっかけは
「イーハトーヴォ物語」をプレイした事です。
ちゃんと読んだ事がない作品が多くこのゲームの題材となっていたので
このゲームをクリアした辺りで買った気がします。

って考えると4、5年前に買って積んでたのか;

寝る前に少しずつ読み進めていたんだけど
あまりにも眠くなるので結局読まなくなってしまったんだった。

描写が詩のような童話集。
脳内でイメージしながら読むことで感性が磨かれそうです。

今回は各話について思う所など色々書きました。
かなり偏ってますが;

①やまなし

→教科書に載っていて読書感想画的なものも授業で描いた思い出がある。
抽象的な内容で詩のよう。
瑞々しい梨の匂い、水底の冷たさを感じる。

②火の貝

→自分の力量を見誤って調子に乗っていると酷い目に遭うという教訓っぽい。
火の玉の描写は美しかったがそれ以外の動物同士の会話や表現は意外と生々しい。

③なめとこ山のくま

→前にも書いたかもしれないけど教科書にも載っていた話。
山で狩りを生業にしている小十郎の生き様とやるせない感じが描かれている。
熊の命を奪う事に対して思う所もあるのに家族や生活の為に殺し、
それを町で買い叩かれるというやるせなさ…。
65頁の『塩引きのさけの刺身やいかの切りこみなどと、
酒が一本黒い小さな膳にのってくる』という部分にばかり注目していた当時…。

④オッペルとぞう

→白ぞうが助かって良かった。
オッペルは白ぞうに食料を少ししか与えず、
重いもので身体の自由を奪った上で白ぞうをこき使うという計画的犯行。

⑤カイロ団長

→活き活きと働いていたカエル達がお酒で失敗し、ブラック労働させられる話。
途中で自棄になるところはちょっと面白かった(酷)

「どうか早く警察へやってください。
 シュッポン、シュッポンときいていると何だかおもしろいような気がします。」 107頁

「王さまの新しいご命令。王さまの新しいご命令。
 すべてあらゆるいきものはみんな気のいい、かわいそうなものである。
 けっしてにくんではならん。以上。」 110頁

⑥雁の童子

→狩りの惨い描写と仮の両親の優しさと、寂しさ

⑦銀河鉄道の夜

→銀河のお祭りの日の銀河鉄道の旅の物語。

179頁での鳥捕りに対しての

「あの人どこへ行ったろう。」

「どこへ行ったろう。いったいどこでまたあうのだろう。
 ぼくはどうして、もうすこしあの人にものをいわなかったろう。」

がなんか泣けた。

ジョバンニの心は孤独だ。

(こんなしずかないいところでぼくはどうしてもっと愉快になれないだろう。
 どうしてこんなにひとりさびしいのだろう。) 198頁

なんかジョバンニの心情の方が共感しやすかった。
だから主人公として感情移入しやすかった。

もし銀河鉄道の旅をしなかったら
カムパネルラとは後味の悪い別れ方になっていただろうと思う。
カムパネルラは急に不機嫌そうになったりするジョバンニとの最後の旅は
どんな寂しい気持ちでいたんだろう。

描写も含めて夢の中の話みたいな内容だった
なんともいえない寂しい気持ちになる話だった

この物語が好きだという人の気持ちはわかる気がする
小、中学生くらいの時に出会っていたかったけど
その頃に内容が理解出来ていたかといわれると難しいかも;

終わりまで読んだ後にもう一度軽く読み直してみたら
カムパネルラについての伏線はあったんですね。。

カムパネルラと銀河の本を二人で眺めた思い出、
カムパネルラの家でアルコールランプで走る汽車を走らせた思い出、
友達との思い出で作られている世界のようにも思えた。


(2022/1/20読了)






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